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曳野は「まずは洗濯を頼む」と命じた。
『初っ端から洗濯か!』
私はガッカリした。
これで探偵の技術は学べるのだろうか。
といっても入ったばかりで文句は言えない。
仕方なく、『洗濯は洗濯機がするのだから』と自分を慰めて、曳野の後ろをついていった。
曳野は洗濯籠の中にあるシワシワのシャツを指して言った。
「麻シャツはぬるま湯で手洗いね」
「ええ!」
洗濯機に丸ごと放りこむこともできない。
超面倒くさい!
手でゴシゴシと揉み洗いしていると「力を入れすぎだ。汚れはこの洗濯ブラシを使ってこう洗うんだよ」と曳野はわざわざ実演して見せた。
『こだわりがあるなら自分でやれば良いのに!』
半分やけになりながら洗濯を続けた。
手が荒れた。
「終わったら事務所内の掃除ね」
曳野からモップを渡された。
力を使ってモップ掛けをした。
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