25人が本棚に入れています
本棚に追加
受ける講義がなくたって
毎朝俺は、同じ時間に大学へやってくる。
理由は────
今、俺の足下に擦りよってきた存在のせい。
なーごと俺の足首あたりに頭をすりすりとしているのは、
この大学の敷地に住み着いているらしいノラ猫。
ある時偶然、この時間、この場所で見かけた。
真っ白な猫が一匹、あまり人の通りそうにない静かな場所で、毛繕いしていたのだ。
だが、その後何度かその場所を通ったけど、
その白い猫を見ることはなかった。
もしかして、と、
少しばかり朝早く家を出て、
前見たのと同じくらいの時間にそこへ行ってみると、
やっぱり、そこにいた白い猫。
なんでだかその猫が気になった俺は、
よくその場所へ足を向けるようになった。
週2、3回だったのが、
今ではほぼ毎日。
この逢瀬は、
俺と猫だけのヒミツになった。
最初のコメントを投稿しよう!