逢いたかったと、笑ってみる

3/3

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
(‥それでも俺は、) ―ブー、ブー‥ 不意にバイブ音を室内に響かせる携帯。 初期設定のままの画面には〝新着メールを1件受信しました〟。 (それでも、俺は‥) 慣れた手つきで携帯のロックを外し、ソファへダイブ。 クッションに頬を埋めメールボックスを開けば、案の定悩みの原因である彼からのメール。 たった一言。 『今から行く』 自分でも気味が悪いと思うくらいに緩む口許。 (それでも俺は、愛されてないわけじゃないらしい) こうやって忙しい中合間を縫って会いに来てくれる貴方が、たまらなく愛しくて。 「風呂‥風呂ためな」 急にせわしくなる心と行動。 携帯を持ち徐に立ち上がれば貴方の為にと風呂場に向かう。 脱衣所で止りふと、メール新規作成画面を開く。 1文字1文字、思いを込めて。 「そー‥しん!」 漫画みたいに上へ携帯をかざし、 思いよ届と言わんばかりに送信ボタンを押す。 これをみた貴方も自分の様に笑みを溢してくれるのかと期待しながら、携帯を置いて風呂場へ足を踏み入れた。 『早く早く早く、早く逢いたいです。』 嗚呼どうも、中々女々しいおっさんやってます。渋谷です。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加