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…………何もない空間で倒れていた少年は、顔に乗っていた手紙を読んでから立ち上がる。
通気口すらない地下室の様な部屋は真っ白で、少年以外には何もないかと思われた。
しかし少年が後ろを見ると、そこには気付かなかったことが不自然なほどに存在感を放つ物が存在していた。
「………剣、だ」
黄金の刃に、純白の柄と刃の中心を通る紋様。
長さは一メートルほどなので、長剣に属するであろう。
余計な装飾などは何もないのだが、それは目を惹いてしまうほどに美しく、そして力強かった。
剣は簡素な台座に突き立っており、少年に刀身を見せつけている。
「なん、だろう」
喉が渇いているのか、ガラガラの声を出しながら立ち上がった少年は、ふらふらと立ち上がって剣へと歩を進める。
僅かな距離はすぐに無くなり、少年は剣の前に立った。
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