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「おかげさんで…。そういえば今年のミオ先生は、新入生の学級を受けもつって…。」
「あぁ。そういえば、お前の妹がいたぞ。…相変わらず、母に似て、可愛い子供のままだ。」
「よしっ。んじゃまぁ、とりあえず入学おめでとうの言葉でも送って…」
「やめておけ。」
走っていこうとしたハルトの襟首を掴んで止めるミオ。
ハルトは自然と首を絞められ、喉をさすりながらミオを見る。
「いま教室に行くのはやめておけ。」
「え?」
「お前が入学式にあんなことを言ったせいで、生徒たちはシオリを警戒してる。…今お前が行けば、火に油を注ぐことになるぞ。」
「え?…俺、そんなやばい事言ってました?」
「……まったく。」
ミオは額に手を当ててため息をつく。
ハルトはキョトンとした顔で首をかしげていた。
「当分、シオリの周りに近づくな。…このままじゃ、中学の二の舞になるぞ。」
「……それってつまり…。」
「お前が暴走したおかげで、またシオリを一人ぼっちにしたいのか?」
「…」
ハルト自身、自分がシオリにした事を自覚していないわけじゃない。
中学の時、シオリを襲おうとした年上の先輩たちを半殺しにしてから、それまでシオリの周りにいた友人が徐々に離れていったのは知っている。
だが、あそこで俺が駆けつけていなかったら、恐らくシオリは一生癒えない傷を負っていた可能性があるのも事実。
父からは、シオリを守るように言われていたし、自分だって妹であるシオリを守ろうとした。
だがその結果が、今のシオリを…
「…」
俯いたハルトに、ミオはため息を着くと出席簿でハルトの頭を叩いた。
「しばらくは様子を見てろ。…それに、今はまだ生徒会業務が忙しいんじゃないか?……異例の、二年の生徒会長だ。先輩の意見を聞かなければ、お前が生徒会長になった意味がないぞ?」
「わ、分かってるっての…。俺だって、この学園を楽しくしたくて会長になったんだ。…それに今も、学長と計画を……あっ。」
言ってしまった後で、ハルトは慌てて口を両手で塞いだ。
そしてミオも、先ほどうっかり口走った言葉を聞き流していたわけじゃない。
「ほほぉ?…あの学長と、一体何の計画を進めているんだ?ん?」
「や、やべっ!!」
ハルトは回れ右をして、ミオから逃げる。
みすみす逃がすまいと、ミオは近くにいた職員に出席簿を渡してハルトの後を追っていった。
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