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「ホームルームのあとでこんなことを言うのもアレ…なんだけど…。…私はシオリ。あなたは?」
彼女は差し出された手とシオリを交互に見る。
そして、億劫そうに手を伸ばして、シオリと握手を交わした
(小さい手…)
握った瞬間わかる。
彼女の手は自分の手の第一関節分は小さい。
声や挙動だけじゃなく、ここまで小動物を彷彿とさせるとは…
「え…エリーゼ、です。」
相変わらず本で口元を隠したままだ。
だが若干、照れるように耳が赤くなっている。
それを見たシオリは、ニッコリ笑う。
やっぱり…
私と同じで、人と話すのが得意じゃないんだ…
かく言う私も、結構アガってる。
体が熱くなり、汗が出てくるんじゃないかと思える程だ。
喋ることが苦手な人間が集まるとどうなるか…
想像しただけでも地獄絵図だ。
でも、彼女相手なら、私もしゃべれる気がする…
恐らく、彼女が同い年ではなく、年下だと勝手に自己暗示をしているからかもしれない。
そうとも気づいていないシオリは、アガりながらも話をしようとした。
「一緒の中学だった人とかいる?」
「え、えと、その…。」
「はわわ」という擬音が聞こえてきそうなほどの慌てよう。
その様子がなんとも可愛くて、シオリはくすりと笑う。
「そ、そんなに慌てなくていいからっ。」
「わ、私がいた中学は…、そのう…ここからかなり離れてて…。この学園には、私一人だけで…。」
「そうなんだ。そこまでして、なんでこの学園に?」
「学園の近くに祖母が居て…。私が進路をどうしようか迷ってたら、この学園のパンフレットを送ってくれたんです。」
「そっかぁ。」
「シ…オリさんは、なんで?」
「え、私?…私は自分を変えたくて…。」
「…」
「ま、まぁあとは、ハル兄に対抗するためかな。」
「ハルニィ?」
シオリは頬を掻いて苦笑いを浮かべる。
エリーゼは疑問符を浮かべて首をかしげていた。
「入学式で馬鹿なこと言った人いたでしょ?…あれが、私の兄ちゃんなの。」
「入学式…」
「ほ、ほらっ。生徒会長で、ボサボサの赤い髪で…」
「それって…」
エリーゼは、視線を窓の外、校庭に向けた。
そして、ある場所を指差して…
「あの人ですか?」
「え?」
シオリはエリーゼが指さした先を見た。
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