ミグラテール

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『え、あれ…。えぇっと…あれ?てっきり僕は拒否されるとばかり…』 「俺に出来るのは、もうそれぐらいだしな…。それに俺には宿題もあった。この三輝士と言う称号を受け継がせる相手を探すと言う、宿題がな…。いい機会だ。スティグマを使えなくなった今の時期に、三輝士を退任するのもいいかもしれない。」 『そのスティグマの事なんだけど…。君はそれをどうするつもりだい?』 「今天界に返すのはいろいろとリスクが大きすぎる。…となれば、このまま俺の中に封印しておくか……誰かに託すか…。まぁ、おいおい考えるさ。」 『そうだね。その方がいいと思う…』 「それで、だ。これからすべきことはなんだ?やはり情報の開示か?」 『あぁ。出来る事なら、それは急いでもらいたい。開示が遅れれば、人々に不安を募らせることになる。そのせいで正常な判断が出来なくなるのは、今後の僕たちの為にもデメリットでしかないからね』 「分かった。それはハースを伝って急がせるよう言っておく。…あと、出来ればハルトたちの動向を知りたいんだが…。」 『それは無理だ。恐らく天界のあの監視システムでも、もう彼らの存在は追う事が出来ていないと思う。…そのための手段を彼らは知っている。どういう訳かは知らないが、彼らは知っているんだ。完成された進化の能力だろうね』 「後手に回るのだけは避けたい…。せめて、奴らに関連がある機関があれば…。」 『あ、その事も話しておかないと…。彼らの活動拠点はアルカディア……あぁ~いや、おそらく今頃、もう違う組織名に変わってるだろうね』 「アルカディアだと?だがあの組織は二十年前に壊滅したはずだぞ。構成員のほとんども今は務所の中だ。」 『いいや、いるだろう?僕らの会話の中に何度も名前を覗かせた人物が』 「まさか…。あの朝霧が指揮してるっていうのか?あり得ない。アイツは組織を指揮する様なタイプじゃないぞ。」 『ジグ=ガウェインと、ハルト=アムウェイだよ』 「な…。どういう意味だ。ハルトはともかく、ジグはアルカディアと共に二十年前に死んで―――」 『…』 「まさか、死んでないのか?」 『あぁ。これは確かな情報だ。そもそも完成された進化に到達した彼が、死を迎え入れる筈がない。朝霧龍と同様に、その姿をずっと隠してきたんだ』
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