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…朝だ。
まだ瞼の重い目を擦りながらカーテンを開ける。
夏の燦々とした太陽の光が脳を刺激した。
"また学校に行けばみんなに会える"
普通にそう思ってた。
この時の俺にはあんな事が起きるなんて知る由もなかったんだ。
欠伸をしながら部屋を出てキッチンに向かえば皿にトーストが置いてあった、恐らく母親が仕事に行く前に用意していってくれたんだろう。
家族は母親と妹しかいない。
父親は俺が生まれる前に母親と離婚した為、顔を見たことすらない。
妹も関東の全寮制の学校に通っていて、まだ家にいるのは母親と俺だけ。
しかも母親は朝から晩まで仕事をしている為、ほとんど顔を合わせることはなく、まるで一人暮らしをしているような感覚に陥ってしまう。
トーストが乗った皿を持ってソファーとテレビがあるリビングに向かう。
ここで新聞を読みながら朝食を済ませるのが俺の日課だ。
客観的に見ればなかなか知的だと思う。
見た目だけの話だが。
黙々と領土問題の記事でいっぱいの新聞を読みながらトーストを口に運ぶ。
「またかよ…」
新聞の記事を読めばついつぶやいてしまう。
無理もない、毎日こういう話題がニュースやら新聞で取り沙汰されているからだ。
この国は今ある島を巡って隣国である大国と対立している。
まあそれくらいにしか俺には分からない、新聞を読むと言ってもただ流し読みするだけだからな。
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