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しばらくして朝食を食べ終えればキッチンに戻り皿を洗い出した。
ピンポーン
無機質なドアチャイムが鳴り響く、恐らくあいつが迎えに来たんだろう。
「入ってていいぞー!」
ドアの前に立つあいつにも聞こえるように大声で言った。
「りゅー兄ぃおっはよー!」
相変わらず朝からハイテンションでよく知った顔の女の子がドアを開けて俺の側に駆け寄ってきた。
こいつは秋谷葉月、俺が幼稚園くらいの時に隣に引っ越してきた家族の娘だ。
俺よりひとつ年下で歳が近かった事もあるだろうが、小さい時からいつも一緒に居る可愛い妹みたいな存在、かけがえのない存在だ。
何故こいつが昔から我が家の合鍵を持っているかはあえて聞かないようにしている。
容姿は…かなり可愛い。
そして茶色っぽい黒髪を少し高い位置で纏め、長めのポニーテールにしてるのがどうしてなかなかポイントが高い。
「おう、葉月おはよ。」
皿を洗い終わって手についた洗剤の泡を水で流して手を拭けば、いつものように優しく頭を撫でてやる。
「えへへ…」
毎日撫でてやっているのに葉月はいつも本当に嬉しそうに可愛いはにかみを見せる。
俺は昔から葉月に惚れていた、他にもいる葉月に好意を抱く男共の誰よりも愛してると誓える程に。
だが一度も想いを伝えた事はない、怖かった、俺は葉月との今の関係が壊れてしまう事を必要以上に恐れていた。
俺はどうしようもないチキン野郎だったんだ。
この後にそれを後悔する事になるとも知らずに…。
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