第一話「開戦」

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「今日の1時間目はなんだったかな…」 ボソッと小さくつぶやいて毎週配られる時間割のプリントを机の中のファイルから確認する。 どうやら1時間目は数学だったようだ。 勉強や授業なんてのは大嫌いだが、授業の時は毎回寝ている俺には全く関係ない。 数学や理科はテストの前の日に少しだけ家で勉強すれば赤点なんてとる心配はない。 社会や英語や国語は元々記憶してある雑学や豆知識でなんとかなる。 "社会なんてちょろいもんだね" そんな俺は小学校あたりからずっとそう思っていた。 毎日真面目に授業を受けて予習やら復習をしているクラスメートを見れば嘲笑さえ沸き上がってくる。 生憎俺は彼らの様に大学に行くつもり等毛頭ない。 適当に遊びながら卒業して、後は適当な会社に入れば好きな人とそこそこ幸せな家庭を築くことができるだろう。 この時の俺はそんなあまっちょろい考えを持って過ごしていた。 自分達がこの平和な日本という温室の中で特に目立った努力なんてしなくても幸せを享受できる。 そう思っていた。 少なくともこの時までは。
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