第一話「開戦」

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暫くすると数学教師がやってきて授業を始めた。 クラスは真面目に受ける奴と、ふざけたり談笑している奴の半分に分かれている。 …なんだか今日の俺はいつもと少しおかしい。 普段なら机に突っ伏していれば自然とまどろみを感じて睡眠を始めるが、今日は全く眠くならない。 そんな自分に行き場のない苛々を感じながら暇つぶしに外の景色を見ることにした。 目に映る風景は二つの深緑の山と遠くに見える住宅街だけ。 俺の住む街は決して都会ではない、だからと言ってド田舎でもないのだが、どちらかと言えば田舎なのだろう。 そんな事を頭の中で静かに思いながら外を見ていると山と山の間を何かが飛んでいるのが目に入った。 日本空軍が保有する青い海洋迷彩の"F-2戦闘攻撃機"だ。 多分飛行訓練だろうと眺めていれば、F-2の後ろに付き纏うように水色の飛行機が飛んでいるのが見えた。 …遠くて見えない。 この辺で訓練しているのは日本空軍の"F-15J戦闘機"と、今窓の外を飛んでいる"F-2戦闘攻撃機"だけだ。 このあたりには米軍の基地なんてないから、米軍の可能性はないし、そもそも日本空軍も米軍も戦闘機に水色の迷彩なんて使っていない。
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