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そして、"水色の飛行機"はF-2に光る何かを発射した。
…信じられない光景だ。
"水色の飛行機"から発射された光る何かに直撃したF-2は花火の様に散った。
間違いない、戦闘が起きている。
何故か俺はこの時異常と思える程に冷静だった。
そして、少しずつ近付いてくる"水色の飛行機"を目を凝らして見てみると、それは何かの番組で見たことのあるものだった。
水色の海洋迷彩に赤い星のマーク、そして少し反ったような機体の形。
それはロシア空軍の保有する"Su-27フランカー戦闘機"だった。
"Su-27フランカー戦闘機"はどんどん校舎との距離を詰めてくる。
何故か恐怖はない。
暫く眺めていれば、また"Su-27フランカー戦闘機"が光る何かを機体から発射した。
恐らく空対地ミサイルによる俺達への攻撃だ。
その光る矢は校舎に向かって真っ直ぐ飛んでくる。
そして今まで聞いたことのない耳をつんざく様な轟音と振動と共に俺達の教室ではなく一つ階が上の二階に命中した様だ。
俺達二年生と三年生の教室は一階、一年生は二階になっている。
つまり…
ーー葉月の教室かもしれない
考えたくなかった。
衝撃で窓が割れてパニックに包まれている教室の中で冷静に何かを考えていたのは俺だけだっただろう。
しかし、今こんな所で葉月の生死を考えても全く結論は出ない。
「龍一!
何ボサッと座ってんだ!
早く逃げるぞ!」
裕真が割れた窓の外から俺に向かって叫んだ。
その声で俺は意識を取り戻した様に我に帰った。
そうだ、今はゆっくり考え事なんてしてる場合じゃない。
いつ炎上し出すか分からない校舎から一刻も早く逃げなければならない。
他の連中が我先にと昇降口から逃げ出そうとしている中で、此処は一階の為窓から逃げられる事に裕真は気付いていた。
普段は勉強もサッパリなのにこういう時には頭が回る奴だ。
俺は裕真に軽く頷いて割れた窓で怪我をしない様に気をつけながら外へ出た。
俺達の教室の窓の外は職員用の駐車場だ。
校舎から逃げ出した生き残りの生徒達が集まっているであろうグラウンドは此処から校舎をぐるりと回って行かなければならない。
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