1 ◆ 出会い

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少年は落とした傘を拾うと、イリスに近づいてきた。 イリスの姿が見えるはずがないのに… しかし着実に、彼はイリスに向かって歩みを進めてくる。 イリスの目の前まで来ると、彼はにこやかに笑ってこう言ったのだ。 「こんな雨の中に居たら、濡れて風邪を引いてしまいますよ。 よかったら、これを使ってください」 そう言うと、彼は自分が使っていた傘をイリスに持たせた。 「あれ?おかしいな。 君、濡れてない? 何はともあれ、風邪を引いたらいけないですから、遠慮せず使ってくださいね」 「貴様…何故 私が見えるんだ?」 「?」 イリスの質問にあどけない表情で、キョトンとする少年。 あまりの忌々しさに、彼を恐ろしい表情で睨み付けた。 「そうですよね。先ほどのあんな場面を目の当たりにしたら、さぞや驚かれましたよね」 イリスの肩に触れようとして、一瞬躊躇したが、ニコリと微笑んで宥めるように軽く触れた。 .
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