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「はぁ。」
冷たい息とともにため息がこぼれる。
さっきから、校門までの足取りが重い。
みんなが私を見ている。
変な目で。
いやな目で。
怖い目で。
理由は、もう分かり知ったことで、斗真先輩をふった。
ただそれだけ。
先輩は完ぺきだった。
仕事がなかったら、いつでも会える存在だったら
今も、私たちは付き合っていられるのかな?
スタイル良し。美形の整った顏。運動はできない分野なんてないくらいできている。性格も、優しくて少しきざなところがみんなにとってメロメロ状態。
そんな素敵な相手が、ある日私の大切な人になった。
仕事が忙しくても、合間を取って一緒にいてくれたのはすごくうれしかった。
私をちゃんと愛してくれている。
私をちゃんと見てくれている。
…でも、だんだん束縛されている気分が私を襲った。
ううん。当たり前なのかもしれない。
カップル同士ってそうゆうもんなのかもしれない。
しつこくなんかないよ?私のこと考えてくれてる証拠だもん。
自分に言い聞かせてきた。
でも、その時に決まって、先輩の愛が無性にほしくなる。
手をつなぎたい。
名前を呼んでほしい。
抱きしめてほしい。
…そんなのできるはずがない。
彼は、一大モデル。
すぐに駆けつけるはずなんてない。
付き合って半年。
彼を、心から愛することはできなかった。
どんなに努力しても。
先輩は毎日、好きとメールでメッセージをくれるのに。
自分がいざうとうとなると手が震えた。
私は先輩を、愛してない。
彼と私じゃ釣り合わない。
先輩は遊びで付き合っているのかもしれない。
自分をどんどん追い込んだ。
…自信がなかったから。
すべて、こんなの自分が悪いってわかっている。
別れを告げるときも、最後まで悩んだ。
でも、自分を追い込みながら付き合っていけるなんて弱い自分には無理。
もう耐えられない。
…違う。
それは全部言い訳で。
本当は、すみれの言った通り。
忘れようとしてやっと忘れることができたのに
会ってしまった。
ずっと愛しかった君と。
再会してしまった。
こんなの駄目だよね。
間違っているよね?
どうか許して。
ゴメンナサイ斗真先輩。
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