長谷川健吾

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長谷川健吾の人間性を説明するには、彼の人生の転機に着目すればわかりやすい。 大学を辞めた理由は、楽しくないから。親にはこっぴどく叱られたが、健吾はあまり反省しなかった。 情熱を燃やして何かを成し遂げたことが無かったために、優れた長所もなく、趣味を継続させることもできない。健吾本人は自分が普通の青年だと自負しているものの、普通の境界線にすらたどり着いていない。 楽観的な生き方。なんとかなるっしょ。 人生を甘く見ていた健吾は、人生の岐路の選択場面でも楽観的だった。 ──楽しそうだと思って応募しました。 長谷川健吾は現在の仕事に就く際に、履歴書の志望動機・自己アピール欄にこう書いた。 これを見た人事担当は、まだ見ぬ長谷川健吾という人間は、バカなのか切れ者なのか考えた。 生産性と仕事率を理解し、利益を叩き出す人材を会社は欲していた。
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