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俗に言われる典型的なダメなヤツの代表が長谷川健吾だ。本人に自覚が無い分、客観的に見ると相当痛い。しかし、指示待ち人間の集団のなかでは、健吾は優良とされる。空っぽだからだ。
就職した先が業績右肩上がりの企業というのが唯一の救い。
健吾を直接採用した人事部長も、現在は副社長職に上り詰めていた。健吾が崇めなければならない人物だ。
彼女いない歴=年齢という焦りも、仕事に打ち込むことで誤魔化していく。だが、誤魔化しも効かなくなる。
祈願の一人暮らしを初めて、一肌恋しい寂しさが生活の節々に込み上げてくるようになる。
劇薬を求めた健吾に優しく手を差し伸べたのが、崇めるべき存在、桐谷圭介30歳。健吾が勤める広告代理店の若き副社長だった。
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