三宮さん

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最初の内はなかなか上手く取ることができませんでした。 でも、何度か繰り返す内に段々上手く取ることができるようにな ってくると一層楽しくなってきて、空き缶めがけて投げてみたり など、様々な遊び方をしました。 時間が経つのを忘れるぐらい遊び続けて、そろそろ帰ろうかと思 った時、突然背後から声を掛けられました。 振り返ると、三宮さんが立っていました。 全身が一気に冷たくなるような感覚がしました。 「僕、それ、おじさんの店のブーメランだよね」 いつもと変わらぬ笑顔を浮かべ、三宮さんが言いました。 よく見ると、口や頬は笑っていても、目は笑っていません。 周りの筋肉がいびつに歪んで、怒りを押し殺しているかのような 目でした。 「は、はい!」 思わず返事してしまいました。 恐ろしい笑顔を浮かべた三宮さんを前にして、ウソがつけなかっ たのです。 「ご、ごめんなさい! これ、返します! もう、二度とやりま せん!」 とにかく許して欲しくて、一気にまくし立てました。
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