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途中でつよし君と別れた後、僕はまっすぐ家に帰りました。
ブーメランはランドセルの中に入れ、自分の部屋に入った後で取
り出し、鍵付きの学習机の中に隠しました。
その日の夜は、不安でしょうがありませんでした。
いつ、三宮さんが訪ねてきて、「あんたの家の子供がわたしの店
の商品を取ったんだ!」
と激怒するといったことがありはしないかと思うと、ただ玄関の
前を通ることにすら恐怖を覚えたのです。
布団に入っても全く眠気を感じず、近いうちに起こるかもしれな
い最悪の事態に震えていました。
ですが、しばらくすると、疲れの為か、知らず知らずの内に眠っ
てしまいました。
翌日になると、昨日までの恐怖感が和らいでいました。
ブーメランを盗んだことによる罪悪感よりも、ブーメランを手に
入れたことによる満足感の方が勝ったのです。
僕は朝食を急いで食べて、早速近所の公園へと出掛けました。
その日は公園には誰もおらず、遊び放題でした。
ブーメランは大変よく飛びました。
腕を思いっきり振るように投げると、一気に公園の端まで飛んで
いって、大きく弧を描いて戻ってくるのです。
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