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三宮さんは、突然ハハハと笑い出しました。
「いいんだよ、許してあげる。君は正直ないい子だ。そのブーメ
ラン、もう散々遊び倒してボロボロになっちゃったでしょ。新し
いのをあげるよ」
そう言って三宮さんは懐から、袋に入れられたブーメランを取り
出しました。
恐る恐るブーメランを手にとった瞬間、ゾッっとしました。
先ほど説明した通り、ブーメランが入っていた袋には、男の絵が
描かれた厚紙が蓋代わりにホッチキスで止めてあるのですが、
その絵の男の子の顔が、つよし君に瓜二つだったのです。
今まで何度もその絵を見たことがありましたが、今までの絵とは
明らかに違っていました。
絵にしては皮膚の細かい部分までがはっきりと表現されていて、
触ると今にも柔らかい肉の感触がしそうだったのです。
あの、妙に生々しい泣き顔のつよし君ときたら!
「い、いりません!」
僕は三宮さんにブーメランを突き返しました。
三宮さんは笑顔を浮かべたままブーメランを受け取り、こう言い
ました。
「大人になっても、二度とこんな真似しちゃ駄目だよ」
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