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2月27日ー
この日の羽田空港は、平日だというのに人が多かった。
見た感じ、旅行から帰ってきた者ばかりだ。
時刻は11時26分を示している。そろそろ、迎えが来るはずだ。そう考えながら、工藤修哉は椅子に座った。
工藤は読みかけの小説を取り出し、ページをめくった。
小説の世界に入ろうとした直後、「おーい、修哉!」と、呼ばれた。
呼んでいたのは、友人である佐伯。
修哉は小説を閉じ、荷物を持って佐伯の所に向かった。
「久しぶりだな、佐伯。アメリカは良いところだ。一度は行った方がいいぞ」
修哉はニコッと笑いながら言った。
「ふ、相変わらずだな。……仕事はどうするんだ?紹介してやろうか?」
修哉に自販機で買ったコーヒーを渡しながら言う。
「仕事なら見つけてる」
「ホントか?なんだよ?」
出口に近づいたところで、佐伯が半信半疑で聞いてきた。
「…Junior high school teacher」
フフッと修哉は笑いながら言う。そして2人は、空港を後にした。
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