カタクリ

2/9
119人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
僕 シレネとカリンは、一卵性の双子の兄弟。 僕が兄で、カリンが弟。 背格好も同じ。 服もお揃いにして。 髪型はいつも一緒。 似た発言をして。 同じものを買って。 好きになるモノも、一緒。 違うとすれば、ほんの少しの性格。 僕は、どちらかと言えばカリンを引っ張っていくタイプ。 友人も多い、人望も厚い。 カリンは、どちらかと言えば僕にくっついてくるタイプ。 友人は少ない、仲の良い数人でいい。 少しのズレがあったりするけど、僕たちはいつも一緒にいる。 1つ歳上の彼と会うのも、同じ日同じ時間。 やっぱり2人一緒に居た時だから、当たり前なんだけどさ。 別に特別な日な訳でもない。 いつも通り歩いた廊下ですれ違って声を掛けられた。 「ねぇ、君たちが1年の瀬戸兄弟でしょ?」 なんだ、なんだ。 僕たちは有名なのかって笑い合った。 両親のおかげか、可愛い顔に産まれた僕たちは、その容姿と双子というステータスで有名だったらしい。 後に、彼から聞いた話だ。 当時僕たちは、双子だから出来る「どっちが僕でしょうかゲーム」にハマっていた。 「センパイ、ゲームしよっか」 「どっちが僕でしょうかゲーム」 「僕がシレネ」 「僕がカリン」 「「じゃあ、目を閉じて」」 声を掛けられた時の受け答えは、いつの間にかいつもこれだった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!