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まぐれ当たりだと思ったのに、それからつーくんは僕たちを間違えたことはない。
本当に、見分けが付いている。
思えば、この頃だと思う。
2人だけの世界じゃなくなったのは。
想えば、この頃だと思う。
つーくんが気になり始めたのは。
「最近、先輩と仲良いんだね」
と良く言われたものだ。
つーくんを見掛けると手を振って。
つーくんとすれ違うと声を掛ける。
カリンと居れば、またゲームをする。
それだけで良かったんだよ、僕。
それだけで幸せだと思ってたの。
「僕、つーくんのこと…好き、かも」
カリンがそんなこと言うから。
僕、気付いちゃったんだ。
自分の中の、感情に。
「シレネは応援してくれるよね!」
無邪気に笑わないでよ、カリン。
無邪気に笑いなよ、シレネ。
カリン個人の友人が少ない、僕の弟が望んでいる。
たった1人を欲して、僕にお願いしてる。
ただでさえ、男同士の恋愛。
誰も味方してくれないかもしれない。
そうしたら、カリンはどうするのさ。
僕は、お兄ちゃんだもん。
「もっちろん!応援するよ?」
誰も味方が居なくても、僕だけはカリンの味方で居なきゃいけない。
だからさ、僕の秘密の感情には、水を与えないで。
これ以上育てちゃ駄目。
枯らさなきゃ。
あれ…僕の味方は、誰も居ないや。
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