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まったく、都合のいい奴だね。 芽衣が何気なく言ったその一言が 脳裏に刺さって離れない。 自分が卑怯なことを言った自覚は勿論ある。 それでも今自分にとって芽衣を完全に失うことは 純粋なる恐怖でしかなかった。 俺達はバンドで頂点を目指そう。 その言葉で別れを告げたのは単なる彼のエゴだ。 どんな姑息な手を使ってでも 彼女を繋ぎ止めておきたかったのである。 何故なら彼女の手から生み出されるリズムは どこまでも修馬を魅了してやまなかったから。
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