《俺の彼女がこんなにヒロインな訳がない》

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そいつは背中に覇気を纏いながら(それぐらいの迫力で)、声のトーンをひとつ落として言う。 「フツウ女の子を1時間も待たせるかな?ん?」 「愛する人の為ならば、たとえ一万年と二千年の時を越えようとも待ち続ける。僕はそんな空のように広く海のように深い心を持った女性が好きです」 「殴っていいかな?」 「すいません、ガチですいません」 護身用の道具って一般的にスプレーとかスタンガンでしょ?何故にバッグからメリケンサック?いや、確かに殺傷力は高いけれども。 「ほら、何か言うこと。無いかな?」 「‥‥‥最近少しお太りになられましたか?」 「おや、こんな所にダイエットには丁度良さげなサンドバッグが」 「謝るから、謝りますから。だからそのバッグから見え隠れしてる金色のメリケンサックを奥にしまって下さいな」 見間違いであっては欲しいが、一瞬メリケンサックとは別にジャラリと鎖らしきものを、バックの中に見た気がした。 「で、他に何か言うことは?」 ヤバイ。目から光が消えて心なしか後ろの覇気もドス黒く。 次にしくじったら俺の命は‥‥‥考えろ、考えるんだ。このゲームの必勝法を。 「何と言うかその‥‥‥な」 ヨシ、こうなったら。
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