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こんこんと湧き出してくる湯に、兄との営みの名残と気怠さがゆるゆると溶け出してゆく。
兄のアジーンが世継ぎを望んでいたと知り、嬉しいような気が滅入るような、やや複雑な気分に囚われたアルゴはぼそりと、
「女の幸せなど、解らぬ」
城から出ず、この身を重い衣装で着飾って花を愛でるのは自分の性分ではない、と思っていた。
それよりも胸が高鳴るのは、自らの命を賭けた闘い。
強い敵と闘い、打ち倒した勝利に酔いしれるその一時が自分は堪らなく好きなのだいうことを、アルゴは知っていた。
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