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あれからすこし月日がすぎて…
私たちは大人になった。
「もう、忘れ物!」
玄関で靴を履いている君に呼び掛ける。
「ん?あぁ。悪いな。」
君は苦笑しながら“すまん”とはにかんだ。
そんな君に呆れながら“ハイ”と四角い小包を渡した。
「あ。そうだ。」
と君は私を座ったまま見上げた。
「なぁに?」
「今日ちょっと遅くなるから。」
「…わかった。」
最近、このやりとりが増えた気がする。わかってるよ、仕事大変なんだよね。わかってる。
――でもさ。
ねぇ、もうちょっとぐらいの我が儘言っていいんだよ?
もっと私に言って?
そんな、少しの言葉じゃ足りないよ。
滅多に口にしないあなたの我が儘、私なら聞いてあげられるから。
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