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「ぅ………」
目を開くと、目の前に天に届くのではないかと思うほど大きく立派な樹が立っていた。
「……うぉ…」
『これ、世界樹の木よ。多分、樹齢は2000とか3000とか。』
「すっご…」
同類だから分かるのか、百花はさらりと言ってのけた。俺は驚きながらも周りを見回すと、この世界樹を中心に森が広がっているようだ。
「む?あのモコモコしたのはなんだ?」
視界の隅に入ったピンクのモコモコした物の近くに寄ってみた。
「…うさぎ?」
ふわふわの正体は、手のひらサイズのうさぎが集まって出来た塊だった。…触りたい。
「さ、触らせてくれるか?」
「………。」
だよな!普通はしゃべらないもんな!…と言うわけで、恐る恐る手を伸ばす。
もふ。
ガリッ!
「…え?」
一羽に触った瞬間、その隣のうさぎに手を噛まれた。しかも、なんか犬歯みたいなやつで。
「いったー!」
『ちょっと、官!周り!』
「………うそーん…」
何時の間にか大量の小さいライオンとうさぎに囲まれてた。みんな目がギラギラしてて、犬歯が…
「…なんでうさぎに犬歯があるのおおぉぉぉ!?」
うさぎとライオンが飛びかかってきたので、思わず背中の小銃を抜いて一発空に向かって撃ってしまった。いわゆる威嚇射撃。
「「「にゃー!ふしゃー!」」」
それに驚き、すべてのうさぎとライオンはズザザッと俺から離れ、ライオンに限っては可愛らしく威嚇された。
「あ、ごめん…」
思わず謝る。だってモコモコが震えてるんだもん!罪悪感ハンパない!
「今の音はなんだあぁぁぁ!」
急に声がしたかと思うと、目の前には3mはあるかと思うほど大きいクマ。思わず頭の中に歌が流れましたよ。
「クマが喋ったああぁぁぁ!?」
「む、人間か。……黒髪…夏陽と同じだな。」
「夏陽?」
「知らんか。ある日突然いなくなったのだよ。150年ほど前だったのだがな?」
「クマさん、長生きっすね。」
「あぁ。何故かは分からんが、子どもも長生きだな。親はそうでもなかったから、突然変異かもしれん。」
長生きだから、人の言葉を覚えたのかもしれない。
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