lesson6 異世界入門

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「そうだった……肉体って腹が減るんだった…」 俺は今、ぐったりと地面に倒れ伏している。150年も飲食をしないでいたら、その習慣を忘れてしまった様だ。だから、俺は森で食べられそうな果実があったにも関わらず、取らずにそのまま歩いて来た。そのせいで俺は倒れてる訳なんだが。 「百花ー、ちょっと俺の血ぃ飲むの控えてくんない?あそこに小さく町みたいなのが見えるから、なんとか行ってみる。」 『分かってるわよ。あんたが倒れてから約2時間ほど経ってるけど、血は吸ってないわ。ほら、早く動きなさい。』 「あー…くそ…腹が減るってこんな感じだったっけな?」 俺は再び立ち上がると、ヨロヨロと歩きだした。 「あとちょっと………っぅ…」 俺は、町の入口まであと100mの所で限界が来た。脚が動かない。 「うわー……転生してたったの4日で死ぬとか……まだなんにも連絡入れてないのにな……役立たずですみませんでした…百花もすまんな…」 『ちょっと!寄生してる私にも死ねって言ってるの!?』 目を閉じた。もう、諦めよう。足掻いたって無駄なもんはどうしようもない…今までがんばってポジティブに行こうと思っていたけど、別にそんな事する必要無かったな。人間、死ぬ時は死ぬんだし。 「せめて、何か美味しいもの食べて死にたいなぁ…」 俺がちゃんと生きてた時は、父さんしかいい物食べられなかったし。あー…… 「腹減った………」 『ちょっ……誰かー!町の人気付いてー!この人拾ってくださーい!私死にたくないでーす!』 と、百花が声を出してるけど、100m先の町まで届かないと思う。誰か、気づいてくれたら奇跡だな。 「おい、お前!大丈夫か!?」 マジか…気づいてくれた人いたわ…と思うと気が緩んで、俺はそのまま気を失った。
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