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あれから、毎日お粥が少しずつ米の割合を増し、今では少し緩いご飯くらいになった。
「えっと…今日までありがとうございました。紹介状までいただいて…」
「いいよいいよ。代わりに、もし俺が困ってる所を見つけたら、助けてくれると嬉しい。」
「も、もちろんです!た、助けに来ます!」
「あはは。ありがとうね。」
サバサバしている金髪碧眼のイケメンに別れを告げ、俺は歩きだした。先ほど教えてもらった、ギルドへの道筋を思い出しながらすすむ。
「……ここか?」
『ここね。』
「ボロくね?」
『だって建ってから300年くらい経ってるもの。所々建て直したりはしてるみたいだけどね。』
「あぁ…なるほど。だから看板が黒ずんでて読めないのか。」
そう、そのギルドの看板は、長年外に晒されていたからか、日焼けと汚れでなんにも見えないのだ。これでは名前が分からない。
「まぁ、ひとまず中に入りますか。」
『そうねー。』
「お邪魔しまーす。」
ドアにベルが付いていた様で、俺が中に入ったらカランカラン…という可愛らしくもうるさい音が頭上で響いた。カウンターらしき所にいる女性に声をかける。
「すみませ…「きゃあぁ!不審者!」ええっ!?な……えぇ!?「ごめんなさい。からかいました。」よかった…」
俺は、この一瞬のやり取りでかなりのダメージをくらった。吐血しそうだ。
「改めまして、いらっしゃいませ。ご用件はなんでしょうか?」
「えっと…これを渡せと言われたんですけど…」
と、先ほどもらって来た推薦状を女性に渡す。女性は開いて中を見ると、少し驚いた顔をしてから
「少しお待ちください。」
と言って奥に入って行ってしまった。俺はそれを見ながらぼーっとしていた。
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