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『なんか、冷たいわね。』
「そうか?俺はこれ位何も無い方が落ち着くな……」
だって何もなければ物を投げられる事もないし、音を立てずに歩く事ができる。……と続けようとして止めた。
「さて、まずは食堂のご飯を食べるためにお金を稼がなくちゃな。」
『そうね。あんた、最近血が少なくて取るの難しいのよ。早く増血しなさい。』
「へいへい。」
百花にせっつかれながらも部屋から出て、カウンターへ。
「あの…」
「はい、どうしましたか?」
「仕事、ください。」
「あぁ。はい。まずはこれを受け取ってください。先ほど完成しました。」
と渡されたのは一枚のカード。硬くて重いので、何か金属の板なのかもしれない。
「これはあなたがこのギルドに所属している事を示す物です。肌身離さず持ち歩いてください。あなたの住民としての権利の証明も、移民のあなたはこちらのみになりますので、紛失にはお気をつけて。」
「分かりました。」
それを受け取ると、俺は腰に着けているポーチにカードを仕舞い、その間に目の前へ置かれていた紙束へと視線を向ける。
「えっと…一番簡単というか…遠出とかも少ないやつってどれですかね?」
「そうですね……これですかね。」
そう言って示されたのは、川から水草を摘んで帰る。というものだった。
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