1011人が本棚に入れています
本棚に追加
「うあーーー……身体がギシギシいってる…」
『ストレッチしないで寝たからでしょ!?もー……』
泳ぐのは久しぶりだったので、使い慣れてない筋肉を使う事になり、身体がものすごい痛い。
「速度遅くなったし……」
『それでも予定より早く進んでるんだからいいでしょ。ほら、歩く!』
「へいへい。」
俺は、痛む身体に鞭打って、計6kgの水草を持って歩いた。朝まで水に浸けておいたので、まだ少し重い。
「んー………」
『どうしたの?』
「なんか……この依頼、変な感じがする。」
『変な感じ?』
百花は疑問を俺に向ける。
「うん……ずっと見られてるし、食料も移動の時間分しかないからな。早く着かないと、飢え死にする事に気付かない人もいるのか?」
『馬鹿な人もいるのねー。前のあんたみたいに。』
「うぐ………それは言わないで…"食べる"なんて行為、本当に久しぶりだったんだから。忘れてたんだし。」
『まあね。それはしょうがないけどね。………ってなんか鳥に囲まれてない?』
「そうなんだよな……なんか、話してる間に鳥が来たんだよな。」
楽しく話してたら、周りが何時の間にか鳥だらけになってた。肩や頭にとまったり、空にめっちゃたくさん飛んでた。
「なー…お前らなんで俺んとこ…って痛い!突くな!」
…で、懐かれた。なけなしの乾パンを一つ分けてあげたら、袋をひとつ、みんなで協力して持ってくれた。
「おー、ありがとうな。みんな、頭いいな。俺の言葉わかるんだ。」
『そうねー。あんた、動物に好かれるタチ?』
「んー……確かに、冬場外に追い出された時は、野良猫とか野良犬があっためてくれた。」
『どうりで外で寝る事に文句言わなかった訳ね。』
「おん。ほぼコンクリの上だったからな。今の土の上とか草原とかはマジふかふかで気持ちいい。毎日快眠だぜ?」
俺は空飛ぶ鳥を追いかけながら、なかなかの速さで進んだ、筋肉痛なんてもう感じない。
「お、そろそろ暗くなるからみんな帰りなー。ここまでこんなに重たいの持ってくれてありがとうなー!」
日が傾いてきたので、鳥たちを早めに返した。昼の鳥は暗闇が苦手だからな。
「うし、日が暮れるまでもう少しあるな。それまで歩くぞ。」
『頑張ってー。』
その後、先ほど乾パンはあげてしまったので、干し肉だけで夕飯を過ごして、寝た。
最初のコメントを投稿しよう!