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「ただいまでーす。」
次の日も鳥たちが手伝ってくれて、着いたのは4日目の夕方。
「あら、早かったですね。もう少しかかると思ってました。」
「歩くのは得意なんで。あ、これ水草です。」
と、乾いた水草を机の上に置く。
「あれ?なんで花がついているのばかりなんですか?」
「え?あぁ……同居人……と言いますかね?そんな感じの存在に教えてもらいました。」
すると、受付嬢は報酬だと言って一袋につき銀貨1枚をくれた後、何か考え事をして、その後俺をその場に待たせてから奥に入っていった。
「お待たせしました。ちょっとここから奥に進んでもらっても良いですか?ずっと道なりに真っ直ぐ行くだけですから。」
「え?あ、はい。」
俺は言われるままに受付の隣にいきなり現れた扉をくぐった。
「…真っ暗だな。」
『そうね。でも、身体光ってるからそこまでじゃないわよ?』
「この花、身体にくっついてても光るんだな。」
俺の胸元が大きく開いた服から、右肩に入っている大きな一輪の花が覗いており、それが光っていた。だから周囲はぼんやりと明るく、足元もよく見える。
「ん?もう終わりか。」
『案外短かったわね。』
30分ほど歩いたところで、出口らしき光が見えたので、歩く速度を早める。そして、出口のところで一応小銃を構え、中に入る。
「………え?」
『広いわね。戦うところかしら?』
出たのは、所謂コロッセオと呼ばれる円形のフィールド。もうすでに観客席はいっぱいで、俺が出て行くとものすごい歓声を浴びた。
「な、なんでこんなところにいるの!?」
すると、どこからか放送の様なものが流れる。
"皆様お待たせいたしました。今回の挑戦者は、何も知らされていない様ですね。とても慌てています。この、世にも珍しい黒髪黒目の男の子は、なんと未だ16歳!コロシアム最年少記録です。さて、挑戦者くん。君には今からとある魔物と戦ってもらう。準備はいいかい?"
どうやら、金持ちの娯楽に放り込まれたみたいだ。観客は煌びやかな服装をしていて、こちらを見てくるから。
「これが終わったら帰っても良いですかー?」
"もちろん。君が勝てたら……の話だけどね。"
すると、準備はいいか?と聞いてきたくせに、何の前触れもなく俺の目の前の檻みたいなところを開けた。中から吼える音が反響してくる。
「………はぁ…勝てる気しねぇな…」
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