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『ちょっと!私がいるのに死ぬの!?』
「だってさぁ……3m超えの狼とか俺無理よ?」
そう。俺の前に飛び出してきたのは、頭が地面から3mは離れてる背の高い狼。俺は、襲ってきた狼を避けながらその横腹に3発撃ち込んだ。
ガウッ!
あんまり効いてない。火力不足の様だ。
「めんどくさい…」
次々と襲いかかってくる狼を避けながらボタンを押し、小銃から剣に形を変える。そして、すれ違いざまに足を斬りつけた。それはほんの少しずつしか切れないけど、確かに血が出るくらいの傷を与える。
『何ショボい事してんのよ。見ててつまらないわよ?』
「俺なりに考えがあるのー。ほっとけ。」
足を斬りつけるのを続けていると、周りがつまらないだのなんだのこれだから子どもは…とか言ってきた。しかし、地味で悪かったですね!と開き直ってやった。
『あんた、脚だけはそこそこなんだから、動きなさい!ほら、ほら!』
狼は足を斬りつけられながらも俺を襲う事をやめない。もしかしたら、薬を使われてるのかもしれない。
「分かってるよ。……っと、そろそろかな…?」
『何が…?』
百花がそう言うと同時に、傷つけられ続けて流れ出した血に足を取られ、狼が盛大に滑ってきた。地面に流れた血が、海の様に広がっていたのだ。俺は、それを足で踏んで止める。…なかなか重い。
「なぁ…薬使われてるのも分かるけど、お前ここから出る方法知らね?俺、出たいんだよね。」
狼は最初グルグル唸ってるだけだったが、止まって呼吸とと共に神経も落ち着いたのかオン、とひとつ鳴いた。
「お前も出たい?」
オン。
「方法分かるか?」
すると、チラッとこっちを見た。どうやら、俺を倒す事が方法らしい。
「んー…どうすっかな…俺、実はまだ死にたくないんだよなー…あ。」
俺の目に入ったのは、俺がここに来た通路。幸いにも、そこは塞がれてない。
「な、お前あそこ通れる?」
少し空いた後に、鳴いた。
「うし、じゃあ競争な!外に出たら、脚治してやるからな!」
オン!
俺はピストル代わりに小銃を客席に向かって撃ち、みんなが驚いている間に走り出した。もちろん気付かれてるけど、狼と追いかけっこしてるからなかなか速くて、捕まえられない。…ちょっと嬉しい。
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