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「おい。」
「んー?なんですー?」
「その身体のやつ、どうしたんだ?まさか、自分で入れた…?狂人か?」
「やだなぁ…違いますよ。まぁ……簡単に言うと寄生とか呪いとかの類です。ある生き物を、魂に結合しながら身体に入れてるので。な、百花。」
『あら、私が出ていいの?』
「な…!?」
俺が口を開かずに百花の声が聞こえたので、相手はものすごい驚いてる。
「花の妖精です。話せるんですよー。この前ツンデレだって判明したんですけど、俺が1人でなんか言ってたら、百花と会話してるんだと思ってください。」
「あ、あぁ……それ、なんかデメリットとかあるのか?」
「え?デメリットですか?貧血になりますし、百花の機嫌が悪いと体調が悪くなります。多分夏だと半袖半ズボンははけないですしね。」
「デメリットがそれだけあるなら、メリットも大きいものだよな?」
さも当然のように彼が聞いてくる。俺はそれに
「え?メリット?ひとつもありませんけど。」
と答えた。
「え…………」
しばらくの間、お湯が入れ替わる音しか聞こえない。
『ちょっと!私にいい所が無いってどう言う事よ!』
と百花が乱入してきたので、
「そりゃそうだろ。戦闘時に身体が軽くなるわけでもないし、魔法が使える様になるわけじゃないだろ?」
『むぅ…』
図星だったのか、黙ってしまう百花。
「まぁ…長い間ひとりぼっちよりはマシだけどさ。」
『う、うるさい!』
「ぅぐっ!」
「おいっ!大丈夫か!?」
照れ隠しで血を多めに吸われ、俺は危うく失神するところだった。
「あぁ…照れ隠しで血を吸われただけなんで大丈夫ですよ…」
「ちょ…風呂なのに顔真っ青だぞお前!一度風呂から出ろ!」
引きずられるようにして風呂場から出て、更衣室のすのこの上に寝かされた。
「おら、飲め。」
「ありがとうございます…」
瓶を渡されて飲んだら、中身はフルーツ牛乳だった。美味い。
「あー…生き返るー…」
「お前がそれ言ったらめちゃくちゃ現実味帯びてて怖いな。」
やっぱり裸の付き合いなのか、一緒に風呂に入ったこの人とは仲良くなれた気がする。人間の友達第一号になったんだと思う。
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