lesson7 友達と…

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風呂から出ると、そのまま朝ごはん。もちろん、風呂場で一緒だった彼も一緒だ。短時間で、ものすごい打ち解ける事が出来た。 「うーん…ヤバい、どれがどんな味だったかさっぱり覚えてない。」 確かに記憶にある見た目の料理が並んでいるのに、その味が分からない。これが長い間食という物から遠ざかった代償か。この前のお粥の時とかも、後から百花から聞いたりして名前を教えてもらったりしたし。一応食べ物とは分かるけど… 「ん?どうした?」 「な、オススメってある?」 「あぁ、確かに全部旨そうだからな。俺のオススメはこれとこれだ。パンに合うぞ。」 「……パンってどれ?」 「え?…………あ、えっとここのやつ。甘いのと、あんまり甘くないのがある。甘くないのは、バターとかジャムを付けると美味しい。」 「ありがとう。」 言われて、バターもジャムも分からず、迷わず甘いのを取った。トレイの上にそれをのっけて、言われたおかずをお皿に少しずつ載せた。それから持てるか分からなかったから箸とフォークを取る。 「うし、食べよ。」 「おん。いただきます。」 「?なにそれ?呪文?」 彼にそう聞かれた。俺は曖昧に笑う。 「これ、俺の生まれたとこの挨拶なんだ。自分に食べられる命に挨拶しなさいって事。食事出来る事に感謝しろってやつ。」 「ふぅん……良い習慣だな。俺も真似しよ。……いただきます。」 俺はさらに苦笑いを深くする。俺は、これを無意識に今まで言ってきた。でも、ここに来るまでに"食べる"という神秘を知って、心を込めて言えるようになった。"食べる"って本当に大切なんだと実感する。食べ物の飽和した世の中で生きてきた前の俺には、それがわからなかったみたいだ。
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