確かに、恋だった。ー火曜日の女ー

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 高月聖(タカツキヒジリ)。  17歳。  ついでに1年2年と同じクラス。  高校始まって以来の秀才、天才と言われる頭の良いヤツ。  普段から物静かで、格好良く言えばクール、悪く言えば根暗。  誰も近寄らせないオーラをまとい、密かなファンは多いらしい。  放課後は部活もせずに、ひたすら図書室で本を読んでる。  それも難しい私のよくわからない本。  タイトルを見るだけで目がクラクラしそうな嫌味なカタブツくん。 「いやさ、高月って頭良いじゃん。だからどんな世界が見えてるのかな?って気になってさ」 「だからって人のメガネ奪って掛けたくらいで変わるわけないでしょう」 「いいじゃん減るもんじゃないし」 「ったく、貴女って人は」  私はまた高月のメガネを奪う。 「いいよね、高月はさ。頭良くて悩みなんてなさそうじゃん」  私はまた気にせず、高月のメガネで遊ぶ。  図書室にいるのは、私と高月の二人だけ。 「ありますよ、悩みくらい」 「本当?じゃあ教えてよ」 「なんでそんなもん知りたがるんですか?」  高月が私からメガネを奪うことを諦めたのか、手にしていた本を閉じる。 「なんとなく?」
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