入学式、街角にて

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「冗談だっつうの、いちいち怒んなよ鬼崎」 友人をなだめるように笑った一條真也。 今日から高校生だ。 今は家から歩いてこれから三年間世話になる高校に向かっている。 その道中で昔から馴染みの友人二人に出会った。 男の方が鬼崎一聖、大会社の社長の息子である。 で、女の方が天音神楽、鬼崎の彼女、というか婚約者だ。 その二人と真也は高校へと向かっている。 「しかしあれだなあ……せっかく高校生活最初の日なんだし、なんかこう、衝撃的な出会いってねえかなあ」 我ながらアホな発言だ、と真也は思った。 話題作りだ、鬼崎はノらんだろうが、天音はどうかな? と、チラッと二人を見る。 天音は昔からオタクだしノッてくるかと待っていたが。 「何?あんた彼女欲しいの? で、街角でパン加えた女子と激突とか期待してるわけ? 無い無い、リアルでそんなんあるわけ無いじゃん。 あってもそこから恋に発展なんてするかしらねえ」 返ってきたのは現実的な答えだった。 「分かってるよんなもん! ジョークじゃねえか! つうか!お前らみたいに婚約してる奴に言われんのはなんか腹立つ!」 「なぁに勝手に切れてんだボケ、朝からうっせえぞ」 「別に切れてねえよ! ツッコンでんだよ!」 と、そこまで真也が言った時だ、住宅街の交差点に差し掛かった時、ドンという鈍い音と共に、真也の横っ腹に激痛が走った。 「ぐっは! いってえ」
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