本気でパワースポットだった…。

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  「はぁ…。将来が不安だ…」 オレは険しい斜面を一歩ずつ登りながら、ため息と愚痴をひとつずつ吐いた。 もうかれこれ1時間くらい山登りしているが、そこは悪戯をして逃げたり、ケンカをして相手に一撃加えた直後に逃げたりして鍛えたDQNの体。 …あ。 ちなみにオレ、DQNは誉め言葉だと思ってます。 そんなことを考えながら、それでもだいぶ疲れてきたため一旦立ち止まる。 周囲は緑一色に染まる木々。 そして新緑の、心地いい薫る風。 オレ、織田信志(おだのぶし)は、自分の将来に一抹の不安を覚えたため、ここ、隣り街のH市にあるパワースポットにお参りに来ていた。 もちろんオレ1人で。  だって恥ずかしいじゃん? 友達とかに『お前将来が不安なのかよw』とか笑われんの? あ。 一応これスペックね。 つ 職業:男子高校生 身長:高い方 体重:標準範囲内 顔 :フツメンだと思いたい 友達:100人を目指しているが現在の進捗率1% あと、ちなみにH市っていってもHな市じゃないからね? 匿名のための頭文字だからね? 誰にともなく頭の中で言い訳をしながら、再び山道(といってもほとんど獣道程度)を進み続ける。 そしてさらに5分ぐらい歩き続けたところで、水音が聞こえてきた。 「この音は、もしかして古戻の滝か…?」 ──古戻(コレイ)の滝。 そう。 今口にしたそれこそが、H市にある、ここ昼神山のパワースポットの名前だ。 あ。 せっかくH市って伏せ字にしてたのに、これじゃあ市の名前バレバレだねw
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