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目を瞑(つぶ)り、自分の中では世界平和に匹敵するぐらいのその切実なる願いを、一心不乱に30回くらい唱える。
これだけ言えばどんなに耳の遠いパワースポットさんでも、聞こえないってことはないだろう。
むしろウザいくらいだろう。
そして、俺が念仏のような41回目の願いを終え、『さすがに5円じゃ安かったかな…?』とポケットからさらなる1円玉を取り出そうとした、
…その時。
ビカッ!!
そんな、ピ●チュウが怒ったような音が、突然辺りに響いた。
同時に閉じたまぶたの隙間から、赤い閃光のような光りが差し込んでくる。
いきなりのハプニンにキョドった俺は、思わず手にしていた一円玉を取り落とし、目をきつくつぶった。
しかしそれだけでは全く防げず、左手の甲を両目の前にかざし、光りを遮る。
…それでもまだ眩しい。
だが。
直後、ポチャンという一円玉が水に落ちた音を聞きながら、
『これはまさか…!
さっき冗談で思っていたことが、発現したのか…!?
…すなわち神が本気降臨し、オレの願いを叶えに来てくれたのやもしれぬ…!!』
…そんな前向きな思考に路線変更をしていた。
だから俺は、期待6割、恐怖心3割、ふしだらな願い事をとっさに唱える心構え10割といった心境で、思い切って目を開くことにした。
すると。
「……な、なんじゃあこりゃあ……!」
…目の前の地面には、まるで映画かゲームか何かに出てくるCGのような、赤透明の光球があるではないか!
池の近くの草むらに埋まったような形で、それが存在しているではないか!
これにはもう、突然の膝かっくんにも驚かないと定評のある信志さんもびっくり!
そして瞬時に悟った。
…オレの願いは叶った…!
あの直径2mくらいの光のたまに触れれば、俺の願いは全て叶うのだ……!
…何の根拠もなく、そう。
うん。
オレ基本的に、将来のことを考えてる時と死ぬ寸前以外は、めっちゃポジティブシンキングですから。
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