不良

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「ぱしり?」 「パシリ」 「…何の?」 「コーヒーゼリーの」 なーるーほーど。2日連続私はコーヒーゼリーを買って来いと…。そして、買ってきたくせに飲むのは私じゃないと。 「…私、パシリじゃないんで。」 「安心しろ、パシリだ。」 「意味分かんないけど!?」 「だーかーらー…、頭悪ぃな。買ってくりゃいんだよ。」 「嫌だけど?!」 「金払うから」 「そういう問題じゃないし」 「んじゃ、おごってくれんのか?」 「そういう問題でもないし…。」 「オマエ、たまには俺の望み通りに動けよ。」 いやいや、たまにはも何も初対面だから。 「ほらよ、170円。」 ん、と言って拳を差し出す。その拳の中に170円あるっていうのは分かるけど、これを受け取った瞬間パシリ決定ですよね? 私は受け取らなかった。 でも…。 「…俺に逆らう気か、テメェ。」 そういう目が明らかにあの『幼馴染』と似ていた。人を見下すような目。この目は嫌いだけど…逆らえると思えない。 「…逆らいません。」 こうして、私は名前も知らない不良のいいなりになってしまったわけである。 いつも朝見てくる占いが『12位のあなた。今日はもやしのようにして過ごしましょう』と言った意味が今なら分かるような気がする…。 目の前の不良は清々しい顔で「んじゃ、そゆことで」と手をひらひらふった。 170円、受け取ってしまったからにはやることはやるけど…何かふに落ちなかった。
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