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話の展開がかなり遅いあの不良のもとを去って、やっと脳内予定通り教室に向かう。
その途中…。
「あ、茅じゃん、おっはー」という陽気な声のくせしてだらけた声の持ち主が接近してきた。
「…誰」
「酷いなー、親友の名前ぐらい覚えとけよ。」
「別に忘れたわけじゃないよ…。冗談通じないなぁ。」
「柚木ちゃんが泣いたら茅のせいだな。」
「意味分かんないけどねー。」
だらけた親友、柚木は不意に「はて?」と首を傾げながら私の横を歩く。
「何で茅があっちから来るの?家、あっちだっけ?」
柚木がそう言って指さすのは体育館の方。私の家は正反対。柚木も私の家来たことあるはずなんだけど…。冗談じゃなくて本気でいう人だから困る。
「違う」
「じゃ、何であっちから?」
「ちょっと…。ピアスのつけた不良にからまれまして…。」
私が事情を説明すると柚木は「あー、あいつか。」と何かを思い出すように言った。
「何、知ってんの?」
「知ってるよ。有名人じゃん。」
「…何で?」
「この学校でピアスつけてんのそいつぐらいだし?」
そういう有名人ですか…。
「一番有名な不良だしね。喧嘩とかしてるらしいよ?」
私、関わっちゃまずい人と関わったんじゃね?
「まぁ、ワイルド好きな女子からの人気は多大で、今現在も上昇中ですなー。」
「…え?」
あれが?人気?
「君の幼馴染といい勝負よ。たーぶん」
不確定要素満載だけど少し現実味がある。幼馴染の人気はさすがに把握してます。もちろん、好きでしてるわけじゃない。席も横だし、たまに愚痴られたこともある。だから知ってるし、だから女子の恨みを買う。…もう慣れたけど。
早く彼女作ってくんないかな―、というのが一番言いたいこと。
そうすれば、私との関係もきれいさっぱりなくなる。つまり、女子の目を気にすることなく生活できる。脱もやし生活となるわけだ。
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