不良

5/13
前へ
/242ページ
次へ
話の展開がかなり遅いあの不良のもとを去って、やっと脳内予定通り教室に向かう。 その途中…。 「あ、茅じゃん、おっはー」という陽気な声のくせしてだらけた声の持ち主が接近してきた。 「…誰」 「酷いなー、親友の名前ぐらい覚えとけよ。」 「別に忘れたわけじゃないよ…。冗談通じないなぁ。」 「柚木ちゃんが泣いたら茅のせいだな。」 「意味分かんないけどねー。」 だらけた親友、柚木は不意に「はて?」と首を傾げながら私の横を歩く。 「何で茅があっちから来るの?家、あっちだっけ?」 柚木がそう言って指さすのは体育館の方。私の家は正反対。柚木も私の家来たことあるはずなんだけど…。冗談じゃなくて本気でいう人だから困る。 「違う」 「じゃ、何であっちから?」 「ちょっと…。ピアスのつけた不良にからまれまして…。」 私が事情を説明すると柚木は「あー、あいつか。」と何かを思い出すように言った。 「何、知ってんの?」 「知ってるよ。有名人じゃん。」 「…何で?」 「この学校でピアスつけてんのそいつぐらいだし?」 そういう有名人ですか…。 「一番有名な不良だしね。喧嘩とかしてるらしいよ?」 私、関わっちゃまずい人と関わったんじゃね? 「まぁ、ワイルド好きな女子からの人気は多大で、今現在も上昇中ですなー。」 「…え?」 あれが?人気? 「君の幼馴染といい勝負よ。たーぶん」 不確定要素満載だけど少し現実味がある。幼馴染の人気はさすがに把握してます。もちろん、好きでしてるわけじゃない。席も横だし、たまに愚痴られたこともある。だから知ってるし、だから女子の恨みを買う。…もう慣れたけど。 早く彼女作ってくんないかな―、というのが一番言いたいこと。 そうすれば、私との関係もきれいさっぱりなくなる。つまり、女子の目を気にすることなく生活できる。脱もやし生活となるわけだ。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加