慣れないことはするもんじゃないな…By九郎

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「…っ!?」 これは夢だと言うのに、あいつが放つあり得ない程の殺気にたじろいでしまう しかし…昼の時程じゃない。あの時は指一本動かせないほど強烈だった。いや、きっとそれと同じ位の殺気を放ってはいるんだろう しかし… 「……アイツ程じゃない」 夢を見た。あの時の夢だ。たまに見る 悪夢なんて生易しい、地獄の夢 その地獄に俺は今も居る…アイツを殺したまま、俺はここにいる 何百人も殺した?本当の殺気?狂人の考え?お前の物なんてどれもこれもアイツの下位互換だろう。そんなもの、アイツで既に体験してんだよ 「来いよ狂人…呪いだかなんだか知らねぇが、お前の未練価値観歴史…その存在全てを、微塵に刻んで殺してやる」 地面に落ちているガラス片を拾い、握り締める。握り締めた手から血が垂れるが気にしない あいつを殺せればそれでいい 「…く…くく…ふふふ…あははははははは!!やっぱり!やっぱり貴方は私と同じ!私が百年探し求めた同類、私の伴侶!逃がさない、逃がさないわよ何処にだって行かせない。殺して殺して殺し尽くして貴方を私の物にしてあげる!」 アンナの顔が狂気を帯びた笑顔に変わり、涙の代わりに血涙が流れる やっと見つけたと、やっと探し終えたと、居てくれてありがとうとでも言いたげに笑う。そこには一切のまともな感情などなく、彼女が浮かべるのはただただ歪んだ喜色のみ 「言ってろよ、殺すのは俺で、死ぬのはお前だ。許さない、認めない、消えるのはお前ださっさと死ね。殺して殺して殺し尽くしてお前を地獄に送ってやる」 普段の俺からは考えられないような台詞だろう。あんなに忌避してた面倒事から逃げず、逆に立ち向かって殺そうとしているなんて狂気の沙汰だと、普段の俺ならそう評価する筈だ だとしても、否定しない。こうしなくては俺が死ぬ。死にたくないなら、殺すしかない 「――――っ!!」 先に動いたのは、俺 素人でも分かるくらいの悪手、真っ正面から突っ込むなんて正気じゃない しかし『殺す』という行為において、俺よりあいつの方が圧倒的に経験値がある。下手に策や技法を凝らした所でそれを崩されれば終わり、待っているなんてもっての他だ つまりは最短で真っ直ぐ、一直線にあいつに肉薄して奴の急所に一撃叩き込む それで終わり。それしか許されないのだ
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