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「「「「「……え~」」」」」
俺がうんうんと頷いていると、周りがびっくりを通り越して茫然としていた。
ア「主君は、人の感情に敏感ですが、こういった感情までは鈍感みたいですね?」
俺の横にはいつのまにか、アリスが立っていた。
俺が鈍感?何にだ?
俺が首を傾げていると、ひそひそ声が聞こえる。
「鈍感ですか、大変そうですね」
「でも、鈍感だからこそ、愛が激しいかも!」
「ありえるかもね、それ」
「それに、頑張る度合いも上がってきたしね」
ミ「だから落としがいがあるんだよ!」
……最後辺りに変なのがいたが、無視しよう。
詩「アリス、俺は金庫を設置するから、ファティさんの看病を頼んでもいいかな?」
ア「はい、頑張ってくださいね主君」
俺はアリスの応援を受けながら、金庫に歩み寄った。
そんなに重いのかな?
俺は試しに、ゆっくりと持ち上げる体制で力を入れてみた。
すると、豆腐のようにフワッと金庫が持ち上がった。
詩「羽のように軽いな…」
俺はまた、金庫を下すと近くにいた刹那を呼び寄せた。
刹「なんだ?詩音、私に告白でもしたいのか?」
詩「…刹那も随分積極的になってきたな?」
最近の刹那は、俺と話すたびにこんな話題を吹っかけてくる。
刹「しょうがないじゃないか、私は詩音が好きなんだからな」
詩「うん…それは嬉しいんだけど……」
俺は記憶喪失だ。
もしかしたら、この世界の人物でもないかも知れない。
いや、確実に違うだろうな
俺は最初に、-俺の世界-とつぶやいた。
何故かは分からないが、俺はこの世界にいる。
これがもし、俺の記憶が戻って元の世界に戻る口実が出来たら、どうする?
万が一にも恋人や家族が出来たらどうする?
俺はそれが怖いのかも知れない。
だから、相手の告白を受け取れないでいる。
本気の告白も、ミコトのような軽い告白も……
そして……
アリスに対するこの感情も……
刹「…詩音?大丈夫か?」
詩「ん、あぁ、ちょっと考え事をな?」
俺はすぐさま思考を変えると、刹那に頼みごとをする。
詩「刹那、この金庫を持ち上げて見てくれないか?」
刹「ふむ、わかった」
刹那は多分最強の人間に値する人物だろう
ステータスはLV300前後。STRなんかは俺よりも何十倍もあるだろうな
それなら、この金庫も持ち上がって当然だな
と、思っていました
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