第二章

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 誰が叫んだものか、もはや分からない。鼓膜が破れそうな程の鳴き声と轟音。何より、目を奪われるその姿。 「ド…ドラゴンだと…ッ?!」  青みがかったグレーの肌に白の斑(まだら)な鱗。その部分が陽の光をキラキラ反射させる。氷の結晶のように進化した竜鱗がその屈強さを引き立てる。  あまりの荘厳(そうごん)さになかなか言葉が出ない。  ドラゴンはもう一度咆哮(ほうこう)をあげると、翼をたたみ急降下する。そのまま浪鴉達の下へ滑り込むと、その背に二人を受け止め、再び彼方へと飛び去って行った。  取り残された天使達はただ唖然とするばかり。開いた口が塞がらないとはこのことだ。 「まさか…実在していたとは…」  いつもは冷静なゼクも、今回ばかりは冷静ではいられないようだった。 「どうやら、テラの予感は的中していたようだね」  混乱が収まらない処刑場に颯爽(さっそう)と現れた人物が呟く。  天使達は混乱覚めやらぬままその人物に頭を下げる。 「処刑失敗、前代未聞だな。ゼクよ」 「ッ!?ジオ様!!」  ゼクも驚き、頭を下げる。
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