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少年が裏路地に曲がった。これはチャンスだと思い、少年の目の前に降り立つ。
彼が俺の存在を認識した時には俺の狩りは始まっていた。
思い切り少年を押し倒し、首筋を通る動脈に噛みつく。
少年は痛みで体を跳ねさせる。
まぁ、俺も生死が関わっている訳で。
そんな事にいちいち構っていられない訳で。
ここで殺さない程度の血を吸う。殺すと後が厄介だからな。
「…っ痛いって……言ってんだろっ!!!」
顔に鋭い痛み。
彼の手には木工などでよく使う、―――桐。
これは痛いわ。うん。
危険を感じ、素早く少年から退く俺。
俺の顔があった場所に突き出される桐。
僅かな月の明かりで照らされるお互いの顔。
明らかにキレてます。という風な少年の表情。
素早く起き上がって俺に攻撃してこようとするが、貧血の為か動きが遅い。
どこか息も上がってきているようだ。
そんな彼の頭を掴み、力を集中させた。
この夜の記憶が消えるように。
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