23125人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
夜。ギルド『神の翼』の屋根に寝転がる一人の白髪の少年がいる。
不意に少年は閉じていた目を開き、体を起こす。
「......夢、か」
さっきまで見ていた景色が、夢だったと理解するのに時間は掛からなかった。
なにせ、今でも忘れられない出来事なのだから。
少年は再び寝転がると、夜空いっぱいに広がる無数の星を風に当たりながら眺める。
そして、少年は片手を上げてボックスを開くと、中から一本の剣を取り出した。
形状はレイピアのようで、刃は銀色に輝き、柄は黄色で、雷のような紋章が装飾されている。
魔剣といい、強力な力が宿った剣なのだ。これの他にも4つの魔剣があり、総じて世界中のどこかに散らばっている、ということになっているのだが。
少年は手に持つ魔剣を自分に渡した奴の事を思い出す。
『え?こんなただの剣が魔剣に見えるの?馬鹿なの?アホなの?死ぬの?』
『......信用してるからな』
少年はほんの数日前の事を思い出していると、隣から誰かが来た気配がした。
「やっぱりここにいたのかい、全帝」
全帝と呼ばれた少年は、自分を呼んだ40代ぐらいの男に向かって言う。
「雷帝か。ここは風が気持ちいいからな」
「そんな事言ってないで書類の処理を手伝ってほしいなぁ。ほとんどが残党の魔族の件ばっかりだよ」
最初のコメントを投稿しよう!