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「書類なんてのはマスターの仕事だろ。量が多くて困るなら、上に報告すればいい。戦えないのに偉そうにしてる大臣とかに回せばいい」
「そんなこと聞かれたら不敬罪で捕まっちゃうな」
「その程度で捕まるなら、この国は終わりだな」
「ならそんな風になったら君はどうする?」
「出てくさ」
「またまた。そんな平然と言いながら力無い平民の為に戦うんだろう?」
「......」
からかうような雷帝の言葉に拗ねるように無言になる全帝。
「で、そんな心優しい全帝。体の方はまだ駄目かい?」
急に雰囲気が真剣なものになった雷帝。
「......まぁな。中級魔法程度なら使えるが、全然だ」
全帝は起き上がってそう答えると、空いている掌の方に小さな炎を灯す。
「まぁ神級魔法を使った上に、普通なら無差別広範囲のジャッジメントを一転に集中させる程のコントロールを十数秒でやったって聞いたけど」
「......あれで決めるつもりだったからな」
今の全帝に、つい数日前程の実力は無い。
例の魔族との戦争時、雷帝が言ったような事をした結果、全帝の体は自身の魔力の負荷によりボロボロになり、魔法を放とうとすればたちまち全身に激痛が走るのだ。
「まぁ魔族の残党の討伐に君の力が必要ないとはいえ、何が起こるか分からないからね。早く治してくれよ」
「分かってる」
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