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夜も更け、ネオンの光が輝く街の中にそいつはいた。
無造作に括った長い髪を夜風になびかせながら。
その男の周りには、傷だらけになったいかにも悪そうな風体の男達が何人も倒れている。
今は夏のはずなのにそいつの周りは真冬のように寒く感じた。
その男の周りには何人もの男が倒れているのに、男達を倒した本人はすでに興味はないというように煙草を吸いながら空を見つめていた。
その眼はここではないどこか遠くを見つめていて、歩けば犯罪にぶつかるという危険な夜の街の中心にいても濁ってはいなかった。
そんな男が何だか面白そうで。滅多に自分から人と関わろうとしない自分が声を掛けた。
「なぁ、お前面白いな。」
背後に立ってそう声を掛けると、男はゆっくりとこちらを振り返った。
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