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素早く裕也と共にいた屋上から下りると、昼間にもかかわらず少し薄暗い繁華街の路地裏を歩きながら未だ鳴り続ける携帯の通話ボタンを押す。
「―はい。」
「遅い。」
「…スミマセン。」
「全く心が籠もってねえな。」
「そりゃあ籠めてないですからね。」
不機嫌そうな声の相手に、悪びれる様子もなくそう返す。
「相変わらず可愛くねえガキだなお前は。」
「それは良かったですよ。あんたに可愛いだなんて思われた日には、全身鳥肌が立つ。」
「はっ…口の減らねぇ…。
まあいい、仕事だ。ただ今度のは長期になりそうでな。」
「どのくらいの期間ですか。」
「少なくとも2年…。そしてできるだけ早くつくように言われている。」
「2年ねぇ…。ちなみに内容は。」
「護衛だ。何でも霧生グループの一人息子が1ヶ月後に、ある学園に転入するらしい。
その父親から依頼が来ている。一応素性は隠すらしいが、親としては心配らしくてな。」
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