0人が本棚に入れています
本棚に追加
汗だくの小さい老人が息をきらしながら、こちらに近づいてくる。
それに一瞬目を向けるが、創造神の像に目を戻す。
「おぉ、神よ。やはり、見捨てるのですか、私は、私は…」
話してる途中で、老人が襟を掴みずるずると、引きずっていく。
「おぉ、神よ。この老人、いやアンドルフに裁きを。」
俺は引きずられながらも、胸元で手を握りあわせ懇願する。
「裁きならいつでも受けますから、とにかく勇者様は今日成人を迎えられるのですから、勝手なことはしないでください!」
うるせーうるせー、と心のなかで呟き、アンドルフにひとつ言う。
「アンドルフ、俺はいつ勇者になった?俺は凡人の筈じゃねーか」
そう、俺は見た目も凡人。身体能力に関しては凡人以下。
なのに勇者なんて、とてもできない。
やはり、神は俺を見捨てたのか。
「何をおっしゃいますか。勇者様はあの預言の子ですぞ!凡人だなんてあり得ないのです!」
最初のコメントを投稿しよう!